2013年8月21日

具体的な相続税対策とは(3)~生前贈与~

キーワード

こんにちは。渋谷区恵比寿の税理士ライブラです。

今日は、具体的な相続税対策に関連して「生前贈与」について書きます。

贈与の種類

  1. 生前贈与
  2. 死因贈与
  3. 負担付贈与

税務上課税対象とされる贈与

  1. 民法上の贈与
  2. 相続税法上設けられている「みなし贈与」

贈与の時効

原則:法定納付期限から6年間行使しない事によって納付義務は消滅

ただし、偽りその他不正の行為によって免れ又は還付を受けた贈与税については7年

贈与をすると有利な財産

ポイント

  • 財産の移転により相続財産自体を少なくすること
  • 相続財産の価値の増加を防ぐ

従いまして、以下のような財産を贈与すると有利になります。

1.将来値上がりする可能性のある財産

  • 開発計画があり将来便利になる可能性が高いため地価の上昇が見込まれる土地
  • 現在は調整区域にあるが、将来はその規制が外れることが見込まれる土地
  • 倍率方式→路線価方式に評価方法が変更になり相続税評価額が高くなる可能性がある土地

2.高収益の賃貸不動産

賃貸不動産を贈与した場合、贈与税の課税価格が、

固定資産税評価額×(1-借家権割合)で計算される。

  • 物件自体の評価額がさがる
  • 相続発生時の納税資金原資の確保

といったメリットがあります。

贈与の際の注意点

ポイントは、実質的に贈与があったのかという点です。

1.贈与による財産移転の証跡を残す

馴れ合いにより、書面(契約書)を作成して行われることが少ないため、「贈与」であるのか「金銭消費貸借」であるのかの事実認定が難しいケースが多々あります。

「贈与」の事実を明らかにするため「贈与契約書」を適切に作成し、金銭の異動がある場合には、預金通帳にお金の流れを残すなど、客観的に「贈与」の事実があったことが認められる証跡を残す必要があります。

2.贈与財産の管理は受贈者が実施する

「贈与」のあとは、通帳・印鑑などについては受贈者に渡して、贈与者は贈与した財産については関与しないようにする必要があります。

単に名義を変えただけでは、実質的には贈与者の財産であると判断され、相続税の課税対象となります。

3.贈与税は受贈者が納付する

贈与者が贈与税の肩代わりをするとその部分にも贈与税がかかります。

その他の贈与による対策

1.暦年贈与の活用

No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)

・同じ月日に贈与しない

「定期金の贈与」とみなされ、一括して贈与税が課税されるリスクがあります

・違った財産を贈与する

 1年目は現金、2年目は株式と毎年違った財産を贈与するほうが一括して贈与があったと見なされません

 ・贈与契約書は毎年作成する

 契約書は、その年ごとに毎年作成する必要があります。

 ・毎年違った金額を贈与する

 毎年同じ額の贈与を長期にわたって続けると、贈与の開始時にすべての金額の贈与の意思があったとみなされ、一括して贈与税が課税されるリスクがあります。

 ・現金は名義の変更を必ず行う

 預金口座に振り込み記録を残すなど、名義の変更が必要です。

2.相続時精算課税による贈与

No.4103 相続時精算課税の選択

相続時精算課税のメリット

  • 2500万円まで贈与税がかかりません
  • 財産を自分の名義に出来ます
  • 贈与を受けた財産から利益を享受できます
  • 財産価値の上昇分がそのままメリットとなります

相続時精算課税のデメリット

  • 相続税がかかる人については、財産価値の下落分がそのままデメリットとなります
  • 移転コスト(登録免許税や不動産取得税など)
  • 相続発生時の遺産分割で贈与を受けた分(特別受益)を遺産に加算されるリスク

長くなり過ぎました。

以上 ライブラでした。

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