2013年7月19日

連結納税制度とグループ法人税制

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こんにちは。渋谷の税理士ライブラです。

最近、お客様で連結納税制度の利用を始めたところが増えてきましたので、簡単な制度のまとめでもと・・・

よく混同されやすい、グループ法人税制もあわせてまとめてみましたので、比べてみてください。

 

1.連結納税制度

連結納税制度とは、企業グループの一体性に着目し、企業グループ内のそれぞれの法人の所得と欠損を通算して課税所得を計算することにより、企業グループを一つの法人であるかのように捉えて法人税を課税する仕組みであり、親法人と親法人による完全支配関係のあるすべての子法人のグループが選択できる制度です。

【連結納税制度の主な特徴】
◆所得通算
連結法人間の所得と欠損を通算することによって、単体納税に比べグループ全体での税負担が軽減されます。
◆子法人の欠損金持ち込み制限
連結子法人の繰越欠損金は、原則として連結納税制度開始前に切り捨てられ、連結納税グループ内に持ち込むことは出来なかったため、制度の導入が進まなかった大きな要因となっていましたが、平成22年度税制改正において一部見直しが行われました。
◆加入時の時価評価
連結開始前・加入前の連結子法人の繰越欠損金は、「繰越欠損金の取り扱い」において挙げられた連結子法人の欠損金については連結欠損金とみなされ、一定の制限の元に繰越欠損金を利用することが出来ます。
それ以外の連結子法人の繰越欠損金は連結加入前・開始前に切り捨てられることになります。
◆適用範囲
連結納税制度においては、親法人と親法人による完全支配関係にあるすべての子法人グループが強制的に適用対象となります。完全支配関係にある一部の子法人のみ恣意的に連結納税制度から除外することはできません。
◆法人税のみの制度であること
所得と欠損の通算はあくまで法人税の課税所得計算についてのみ認められており、住民税及び事業税はほぼ単体納税の場合と同じです。したがって、住民税及び事業税においては連結納税制度のメリットである所得通算を行うことが出来ません。
◆継続適用
連結納税制度は一度導入すると、一定の場合を除き、継続適用が要請されます。また、一度連結納税制度を取止めた場合又は取消しとなった場合には、その取止め等から5年を経過しなければ、再度連結納税制度を導入することは出来ません。

 

2.グループ法人税制

グループ法人税制とは、グループ法人の一体的運営が進展している状況を踏まえ、実態に即した課税を実現する観点から、平成22年度の税制改正において創設された新しい制度です。
連結納税制度は、これを選択した内国法人にのみ適用される規定ですが、グループ法人税制は100%グループ内の法人が行う一定の取引等に自動的に適用されるものです。

【グループ法人税制の特徴】

◆対象法人の範囲
・親子法人間において100%保有関係にあるもの(直接及び間接)
・外国法人
・個人(配偶者、6親等内の血族、3親等内の姻族)

◆100%グループ法人間の資産の譲渡取引
内国法人が一定の資産を完全支配関係にある他の内国法人に譲渡した場合は、その資産に係る譲渡利益額又は譲渡損失額に相当する金額について、その譲渡損益を繰り延べます。

◆100%グループ法人間の寄附
内国法人が法人による完全支配関係にある他の内国法人に対して支出した寄附金の額がある場合は、支払法人側ではその全額を損金不算入にするとともに、受取法人側においてはその全額を益金不算入となります。

◆100%グループ法人間の現物配当
内国法人が行う現物配当のうち、その現物配当の直前においてその内国法人と完全支配関係にある他の内国法人に対する現物配当は、帳簿価額で譲渡したものとされ譲渡損益を認識しません。

◆100%グループ内法人からの受取配当金等の益金不算入
配当等の額の計算期間中継続して完全支配関係にある内国法人から受ける配当等の額については、負債の利子を控除せず、その全額を益金不算入となります。

◆100%グループ内法人株式の発行法人への譲渡
内国法人が、所有株式を発行した他の内国法人でその内国法人との間に完全支配関係があるものから、みなし配当事由(自己株式の取得等)により金銭その他の資産の交付を受けた場合等は、その株式の譲渡対価の額は譲渡原価の額に相当する金額とされ、その譲渡による損益を計上ません。

◆大法人の100%子法人等に対する中小企業特例措置の適用
法人のうち、資本金の額又は出資金の額が5億円以上である法人との間に完全支配関係がある子法人については、下記の中小企業特例措置は適用されません。
①軽減税率(法法66条2項)
各事業年度の所得の金額のうち、年800万円以下の金額に対する法人税の税率を28.05%から16.5%(平成27年4月1日以降開始事業年度については25.5%から15%)に軽減する措置。
②特定同族会社の特別税率の不適用(法法67条1項)
特定同族会社の各事業年度の留保金額が留保控除額を超える場合に、各事業年度の所得に対する法人税の額に一定の金額を加算した金額が課せられる特定同族会社の特別税率を適用しない措置。
③貸倒引当金の法定繰入率(措法57の10)
平成27年度までに段階的に廃止される貸倒引当金の損金算入限度額について、個別評価金銭債権と一括評価金銭債権に区分して計算された、従来の損金算入限度額の範囲内で損金算入を認める措置。
④交際費等の損金不算入制度における定額控除制度(措法61の4)
各事業年度において支出する交際費等の額は、原則としてその全額が損金不算入となるところ、年600万円以下の10%相当額と年600万円を超える部分のみ損金不算入とする措置。
⑤欠損金の繰戻しによる還付制度(措法66の13)
原則として不適用となっている、平成21 年2月1日以後に終了する各事業年度において生じた欠損金額の繰戻しによる還付制度について、還付を認める措置。

制度概要については、これくらいにしておきます。

以上 渋谷の税理士ライブラでした。

 

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