具体的な相続税対策とは(6)~信託の活用~
こんにちは。渋谷区恵比寿の税理士ライブラです。
今日は、具体的な相続税対策として、信託の活用についてお話します。
信託とは、財産を持っている人(委託者)が信託行為(例えば、信託契約、遺言)によってその信頼できる人(受託者)に対して、金銭や土地などの財産を移転し、受託者は委託者が設定した信託目的に従って受益者のためにその財産(信託財産)の管理・処分などをする制度を指します。
信託と言えば、信託銀行の行っている取引と理解している人が大多数ですが、この信託銀行の営業メインとなる信託商品は、「貸付信託」であり、受益者が委託者と一致する自益信託で、専ら集団信託としての利用されてきました。
信託では、委託者(財産を預ける人)、受託者(預けられた財産を管理・運用する)、受益者(預けられた財産から生じる利益を得る人)が登場します。
信託では、信託財産(信託された財産)の所有者は受託者ですが、一方で、信託財産にかかる経済的利益は受益者に帰属します。
信託財産が不動産の場合、受託者は①賃貸借契約の締結、②修繕等の不動産管理契約をすることになります。
一方で、信託財産にかかる賃貸収入や信託財産を売却した売却代金等の経済的利益は受益者に帰属します。
上記のように、信託では財産の管理者と経済的利益を受ける者を切り離すことができる点が特長です。
税務上では、原則として経済的利益が帰属する受益者が信託財産を有しているとみなして課税されます。
相続対策として活用できる信託には、以下のようなものがあります。
1.財産を守る
財産を信託にしておくと、信託会社の名義に変わります。信託契約に売却目的に関する制限を設けていれば、信託会社を簡単に欺くことはできないため、財産をだまし取られるようなリスクが低減されます。
2.受益権利指定変更権
委託者は、別段の定めがない限り、生前であればいつでも死亡後に受益権を取得する受益者を変更することができます。
委託者が自分の老後に同居し介護してくれる子を死亡後の受益者にしたいと考え、長男を受益者に指定していたが、長男が地方勤務になったので、次男が同居することになった場合、受益者変更権を行使して、長男の同意なくして、死亡後の受益者を長男から次男に変更することができます。
または、長男を後継ぎとして株式を生前贈与して事業から引退しようと考えていたが、長男は健康問題を抱えており、最悪の場合次男にも株式の移転手段を確保しておきたい場合などに利用可能です。
3.後継ぎ遺贈型受益権連続信託
現受益者の有する信託受益権(信託財産より給付を受ける権利)が当該受益者の死亡により、予め指定された者に順次承継される旨の定めのある信託を指します。
子供のいない夫婦の場合、妻に財産を残したいが、妻の死亡後は、妻の親兄弟よりも自分の兄弟に承継させたいと望む場合などに利用できます。
4.目的信託
目的信託とは、受益者の定めのない信託を指します。
自分の死後に自分のペットの飼育といった目的を伝えておくことにより、受託者は目的にあうよう資産を運用するなどにおいて利用できます。
以上 ライブラでした。
« 外国子会社合算税制(タックス・ヘイブン対策税制)について 今週の「週刊税務通信」(No.3278)平成25年9月16日 »
ライブラ税理士ブログのFACEBOOKページでは、税に関する豆知識や最新情報をお伝えしています。