外国子会社合算税制(タックス・ヘイブン対策税制)について
こんにちは。渋谷区恵比寿の税理士ライブラです。
今日は、タックスヘイブン税制についてのお話です。
【制度の概要】
タックスヘイブン税制(外国子会社合算税制)とは、
- 日本の内国法人である親会社が
- タックスヘイブン地域に子会社を設立し
- 当該地域に利益を留保すること
これらにより日本の課税を免れる、という租税回避行為を防止するための規定です。
【タックスヘイブンについて】
初めて聞いたときは、タックスヘイブンの「ヘイブン」とはhaven(避難所)のことであり、heaven(天国)と勘違いしていましたが…
タックスヘイブン地域は、税負担がまったくない、又は、低税率です。
タックスヘイブン税制の課税対象となる低税率の基準とは20%、すなわち、日本の実効税率の概ね半分です。
タックスヘイブン地域としては、
- ケイマン諸島
- バミューダ
- 香港
- シンガポール
などが存在しています。
タックスヘイブン地域を利用する側が想定している効果としては、
低税率国へ利益を移転することによる全体の「税コストを最小化」です。
欧米では経理部門とは別に税務部門を設け、税の専門家によるタックススキームの策定が当たり前のように行われています。
今後は、日本の企業においてもタックスヘイブン税制、他の国際税制も考慮した上で、利益の極大化を進めながら、「税コストの最小化」を目指すという高度な戦略を遂行していくところが増えてくるはずです…
【具体的な規定】
合算課税の対象となる子会社に該当するかの判断は、以下のステップによります。
- 進出先の子会社が外国関係会社(居住者、内国法人、特殊関係非居住者により50%以上の株式を保有されている会社)に該当する
- 外国関係会社が特定外国子会社(外国関係会社の所在する地域の税率(実効税率)が20%以下である外国関係会社)に該当する
- 内国法人が特定外国子会社等の株式の10%以上を保有している
上記のすべての条件を満たしている場合、内国法人は、特定外国子会社等に留保された所得金額のうち、内国法人の持株割合に対応する金額を内国法人の所得とみなして、日本で合算課税されます。
しかしながら、タックスヘイブン地域で、独立した事業としての実態を備えた業務を行っている場合には経済合理性があるので、原則タックスヘイブン税制の適用除外となります。
(1)事業基準(主たる事業が株式の保有等でない場合)
(2)実態基準(タックスヘイブン地域に事務所や工場等の固定施設を有している場合)
(3)管理支配地基準(タックスヘイブン地域で、株主総会等の開催、帳簿の作成等が行われている場合)
(4)非関連者基準(取引の過半を関連者以外の者と行なっている場合)
<非関連者基準>
卸売業、銀行業、信託、金融商品取引、保険、水運、航空運送業の7業種
その事業の性質上、国際的に展開される一定の業種(上記の業種)については、その取引形態が真に独立企業にふさわしいものであるかとの判定は、非関連者との間で一定以上の取引を行っているかどうかによりその経済合理性を判定。
(5)所在地国基準(事業をその本店所在地で行なっていること)
<所在地国基準>
上記7業種以外の業種(小売業、製造業、サービス業等)
地域密着性が強い業種では、所在地国で業務が行われているかどうかという観点から経済合理性を判定。
また、これらの適用除外基準を満たした場合においても、一定の株式の配当やキャピタルゲイン等(資産性所得)については、日本から特定外国子会社等に付け替えが容易な所得であるため、当該所得は、合算課税の対象とされています。
具体的には、以下に掲げるその特定外国子会社等の資産性所得のうち、内国法人の保有する株式等に対応する部分の金額(ただし、資産性所得の金額が少額である場合において、一定の要件を満たすときは、資産性所得の合算課税の適用なし)が合算対象となります。
- 保有割合10%未満の株式等の配当
- 債券の利子
- 債券の償還差益
- 保有割合10%未満の株式等の譲渡益(一定の市場における譲渡に限る)
- 債券の譲渡益(一定の市場における譲渡に限る)
- 特許権等(その特定外国子会社等が自ら行った研究開発の成果に係る特許権等を除く)の使用料
- 船舶又は航空機の貸付けの対価
以上 ライブラでした。
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