2014年4月9日

小規模宅地等の特例について

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こんにちは。

渋谷区渋谷・恵比寿の税理士ライブラです。

先日、渋谷区区役所の税務相談にお手伝いに行ってきました。

対応した案件は全て「相続税」。

ですので、しばらく相続に関連する話題にでも触れていこうかと…

早速ですが、平成27年から(大?)増税となる相続税、「小規模宅地等の特例」に関する解説です。

節税の鍵は、「小規模宅地等の特例」を上手く使えるか否かに掛かっていると言っても過言ではありません。

ここで、「小規模宅地等の特例」とは、相続税の計算上、亡くなった人(被相続人)が保有していた宅地の評価が大きく減額できる特例です。

本特例が使える宅地は、①自宅や②事業や③貸付用などに使われていた土地です。

このうち、最も多くの方に関係すると思われるのが①自宅の土地です。

自宅の土地に本特例が適用できれば、相続税の計算上、240㎡(平成27年から330㎡)までの部分について評価を80%減額することができます。

土地の評価額が5,000万円なら1,000万円、1億円なら2,000万円に減額となるわけですから、減額分×税率の分の金額に相当する大きな節税になります。

場合によっては、税金がまったくかからなくなる可能性もあります。

しかし、本特例が適用されるのは一定の要件を満たしたときのみに限られているため、注意が必要です。

一番のポイントは、『誰がその土地を相続したのか』という点です。被相続人の自宅の土地については、以下の3パターンに分類されます。

 

①被相続人の配偶者が相続した場合

無条件でこの特例は使えます。

②被相続人の同居の親族(配偶者以外)が相続した場合

相続税の申告期限までこの土地の所有と居住を継続したときに限り、この特例を使えます。

申告期限は相続開始日の翌日から10ヶ月以内ですので、その間は売却してはいけないことにご留意ください。

③被相続人の配偶者や同居親族以外の親族が相続した場合

被相続人に配偶者も同居親族もいない場合に、

・相続開始日の直前3年以内にマイホームに住んだことがない別居親族がこの土地を相続し、

・相続税の申告期限まで所有を継続

すれば、この特例が使えます。

賃貸住まいや会社の寮住まいをしている子が親の自宅を相続したような場合などが考えられます。

既にマイホームを持ってそこに住んでいる子はこの特例が使えないので留意する必要があります。

上記②③のケースでは、要件を知らずに申告期限前に売却してしまうケースも散見され、特に注意が必要です。

相続税課税の可能性がある方は、遺言を作る際にも気をつけてください。

自宅の土地は『誰に相続させるか』でこの特例の適用可否が決まりますから、その点を念頭に置いて相続させる相手を決める必要があります。

また、自宅が二世帯住宅だった場合、現行では建物内部で互いに行き来できる構造でなければ同居とはみなされずこの特例の対象になりません。

しかしながら、平成26年からは構造に関わらずこの特例の適用が可能となります。

二世帯住宅をお持ちの方にとっては朗報です。

しかしながら、以下の2つの点に気を付けてください。

①二世帯住宅で親子が区分所有登記をしている場合、子が居住の部分には今後も本特例が適用されません。

専有面積が親子同一の場合、この特例の恩恵は半分しか受けられません。

例えば、1億円の土地であれば、6,000万円までしか下がりません(1億円-1億円×1/2×80%)。

二世帯住宅の取得にあたって子が一部資金を負担した場合は、この特例の最大活用を第一に考えるなら、親子区分所有登記ではなく共有登記にするべきです。

②二世帯住宅に住んでいた子供世帯が、その後転勤にともなって家族で転居していた場合、同居とは見なされずこの特例の適用が受けられません。

子が家族を残して単身赴任していた場合は、引続き子の自宅は家族のいる二世帯住宅であると認められこの特例対象となります。単身赴任をお勧めすることになります。

更に、現行では、終身利用権付きの老人ホームで亡くなった場合、老人ホームが終の棲家であって元の自宅はもう自宅とは認められず、結果として、小規模宅地等の特例の対象外となります。

これも税制改正により、平成26年以降は元の自宅の土地にこの特例を適用することが可能となります。

ただし、老人ホームに入所した後、亡くなるまでの間に元の自宅を他人に貸したりしてしまうと、特例対象から外れてしまいますのでご注意ください。

以上が、自宅の土地に小規模宅地等の特例を適用させるための要件について概要ですが、かなり複雑です。

また、事業用や貸付用の宅地への特例適用の要件は自宅とは異なりますし、宅地が複数ある場合に「どの宅地から優先的に特例を適用させるのが最も節税に繋がるのか」という判断も用意ではありません。

従って、素人判断はしてはいけません。

特例適用の可否については、必ず専門家に判断を仰ぐことを強くお勧めします。

その上で、現状が適用不可であれば、何が障害になっているのかを見極めて早めに対策を講じておきましょう。

 

以上 ライブラでした。

 

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